肘や肩の故障を防ぐ:リンケージシステム

前回のニュースではあまりにも肘の故障を多い少年野球の現状を見て、故障の原因等を解説致しました。それでは今回は肘や肩の故障を防ぐ投球動作のリンケージシステムで投げる投手の映像を紹介致します。その投手はペドロ・マルチネス投手です。ルーキーとしてロサンゼルス・ドジャースに入団、投球メカニズムや投球術を学び生涯勝利数219勝、防御率2.93そしてサイ・ヤング賞を3回獲得した1990年代から2000年代の最高の投手です。投手としては非常に細身で身長180cmに満たない体で全盛期には160キロ近いボールを投げる姿はたくさんのファンの心にインパクトを与えました。それが下記の映像です。

リンケージシステムとはロサンゼルス・ドジャースのチームドクターでトミー・ジョン手術を発明したドクタージョーブ氏の研究結果から生まれた投球方法です。投球時に上半身をチェーンのように胸郭→肩→肘→手首の順で連動させながら動かすことでしなりを作り、各靭帯や筋肉に掛かる圧力を分散しながら腕を振る動作です。

 マルチネス投手の動作で最も素晴らしところは並進運動をしながらアーリーコッキングからアクセレレーションまでの動作の中でボールを後ろから前へと胸郭から引っ張るように投げているところです。広く柔軟性のある肩関節の可動範囲を存分に利用し、肘に掛かる負担を少なくしながらボールを投げていることが分かります。肘を故障する選手の動作に多く見られるのがアクセレレーション時に肘が胸よりも前に出てしまう動作です。胸よりも肘が前に出てしまうことで肘への負担が大きくなり故障の大きな原因となります。

 少年野球時代に故障した古傷は練習量の増える高校時代に表れることが多々あります。どうか未来ある野球少年には故障をしない正しい投げ方の基本を学んで欲しいと思います。