メジャー流 理想の打撃 マット・ケンプ

 理想の打撃とはその選手の考えによって様々なものだと思います。イチロー選手のように本塁打は少なくても打率やヒット数で勝負する選手。または打率は低くても長打力で勝負選手がいます。レジースミスベースボールではこの二つを兼ね備えた選手を理想の打者であり、そういった選手を育成することを目標としています。打率や確実性を重視すると、当てることに集中するためにボールを強く打つことができなくなります。または反対に長打を狙うことで、スイングにブレが生じて正確にボールを捉えることが難しくなります。それではどのようにすれば両方を兼ね備えることが可能になるでしょうか?下記がロサンゼルス・ドジャースのマット・ケンプ選手の映像です。レジースミスとパーソナルインストラクターとして約7年前からケンプ選手と二人三脚で打撃指導をしています。もともとバスケットボールの選手であったケンプ選手の潜在的な能力を引き出すことで打撃に圧倒的なパワーを生み出しました。2011年 打率.320 本塁打32本、打点106 で二冠王を獲得した年の全本塁打の映像です。

 この映像を見ても分かるように、右翼席に6本、中堅席に18本、右翼席に8とセンター方向への本塁打が非常に多いのが特徴です。デトロイト・タイガースのカブレラ選手もそうですが、この打撃ができることで打率も良くなるのが共通した特徴です。また、もう一つの特徴は軽く打っているように見えて非常に遠くに飛んでいることが映像からも分かります。この技はボールの内側を打ちインサイドバックスピンを掛けることで、ボールが切れ難くなり、飛距離が増します。そして手首が返り難くなるために、ライナー性の打球が増えることによって必然的に打率が上がりやすくなります。

 こういった打撃を習得するにはどのようにすれば打球が飛び、どのようにすれば正確にボールを打つことができるかを理解することが非常に大事になります。右打者で言うと左腕の使い方が大きなポイントになります。これらのことを理解してテクニックを習得することで、小中学生でもこのような打撃が可能になります。

 昨年、引退した松井秀喜選手も話すように、前で捉えてボールの外側を打つ打撃ではメジャーでは結果を出すことができず、ボールの内側を打って体の近くで打った方が良い結果になりやすいと話すように、投手のレベルが高くなればなるほど、こういった考えになることが良く理解できます。