打撃における飛距離の法則とは?

 先日、東京ベースボールキャンプ期間中に神奈川県の中学校野球部の監督さんが弊社の野球指導に興味があり見学に来て下さいました。その際にお受けした質問の一つに「大人は力があるから軸で回転して飛ばせるけど、小学生は体が小さいから重心を後ろから前に移動して体全体で打ち返した方がボールは飛ぶのでは?」という問いに対してキャンプ時の休憩時間でしたのであまり詳しく回答をする時間がなかったので、この場をお借りして補足説明したいと思います。恐らくほとんどの方がこういった考えをお持ちなのではないかと思います。実際に私も以前はその一人でしたので、良くあるご質問の一つとして皆さんに弊社の野球理論に基づいて御説明致します。

 MASS(質量 )   X  VELOCITY (球速) = DISTANCE(距離 )

 この法則を簡単に説明すると、強度の強いコンクリートの壁に向かって速いボールを投げると強く跳ね返ってきます。反対に強度の弱い壁にボールを投げるとボールは弱く跳ね返ります。要するに質量を示すものが壁であり、投手の球速が速くそして対戦する打者が強い壁を持っている場合には球速が遅い投手と対戦するよりも飛距離が出るということです。つまり球速が速い投手ほど被本塁打率も高いのもその理由と言えます。

 以上の法則を基に考えると体重移動がボールを飛ばすのではなく、強い壁を持った打ち方ができる打者がボールを飛ばすことができると言えます。壁に向かい足を開いて手で壁を押す力と軸足に掛る力は同じになるという法則がございます。例を上げると相撲の立会で重心を低くしながらテコの作用を使いながら相手を押す動作に似ています。そのために腰の高い力士は下半身の抵抗力を使うことができないと言われる理由と言えます。

 つまり、力のある大人であっても力のない子供であってもこの法則に違いはないと言えます。要するに強い壁を持つことができるように上半身と下半身とを連動させながらボールを正確に捉えるかが大きなポイントであると言えます。このような考えからもご理解頂けるかと思いますが、レジースミス理論の根底にある誰にでも通じる普遍性を皆様にご理解頂ければ幸いです。

                          代表   滝口 ひろし