メジャーリーグ流の脅威のスライディング対策

 先日の開幕6戦目ミネソタ・ツインズVSニューヨーク・ヤンキース戦で2塁手の西岡選手が三塁ゴロの併殺のために2塁カバーに入った西岡選手のすねに併殺崩しを狙った1塁走者のスイッシャー選手に足を払われて左すね腓骨を骨折しました。その瞬間、左すねが反対方向に曲がっているのを見るとメジャーリーガーの激しいスライディングへの対応が日本人2塁手にとっての大きな課題の一つだと思いました。西岡選手以外にも今年から日本球界の楽天イーグルスにメジャーリーグから復帰した岩村選手はレイズ時代に松井選手はメッツ時代とどちらもチーム事情からのコンバートのために慣れていない上に日本プロ野球よりも激しいスライディングへの対応が非常に難しく大きな怪我をしました。西岡選手も元々は遊撃手から2塁手へのコンバートのために、やはり実践でなれるためにはある程度の時間がないと難しいポジションなのだと思います。


 
メジャーリーグのスライディングには二通りあり、左側のジータ選手のスライディングがベースに向かって真っすぐに向かうタイプのスライディングです。このタイプは足元を払うことはしない代わりに両腕で野手の視界を遮り、さらに両腕で野手の足を肘や手で避けるように押すことで野手のバランスを崩します。さらにベースに付いた後に体全身を反転し上体を起こして相手野手を地面に叩きつけることのできるポップアップスライディングという危険なスライディングもこのタイプです。もし、このスライディングをされた時に野手が走者に対して背中を向けると後頭部から地面に落ちる可能性もあります。この時のジータ選手はそこまではしませんでしたが、この時の西岡選手は走者に対して背中を向けているためにそうなる危険性が大きくあったのではないかと思います。
 右側の映像が今回の怪我をしたタイプのスライディングです。走者の手は2塁ベースに向かっていますが、足は野手の足首やすね付近に足を蹴り上げてきます。このタイプはいくら両サイドに逃げても広い範囲で足を追ってくるのでジャンプをして避けること以外に方法はなくなります。しかし、この時は緩いゴロのために西岡選手がボールを捕球送球に入る時にはすでにスライディングをしています。これらはヒット&ランの時の併殺と同じ状況なので、野手は瞬時にヒット&ランが掛けられてるのかどうかを判断しなければ簡単に足を払われることになります。解決策としては、走者に近くに来ていると判断をしたらジャンプをしてから空中で投げるか、投げずにジャンプをして1アウトで済ませるかということになります。また、この試合でYESネットワークのテレビ解説者が話しているように「この3連戦の3度の併殺で3塁側に足をステップしていた。それをヤンキースが知ってた。」と話すように大きく左足が3塁方向に流れているのが原因と話していました。いずれにしてもこのタイミングで送球すれば足は確実に払われますが、もし、もう少しベースに入る際に円を描くように角度を付けてベースカバーに入り左足のコンパス(ステップ幅)を小さくすることができればちょっとした角度の違いで大怪我につながらなかったのではないかと思います。
 2塁手は遊撃手よりも走者の動きが見え難く鋭角で視野が狭いために遊撃手よりも難しい併殺となります。是非、2塁手を目指す方はこれらのスライディングを想定をして練習をして欲しいと思います。